作家の才能を最大限伸ばす

 

作家の代わりに出版社と契約を結んだり、作品の出版権管理などの業務を担当するリテラリー・エージェント(作家の代理人)。欧米の出版業界では、作家との二人三脚の関係から優れた作品を生み出す存在として認知されているが、日本ではまだ知名度が低い。

 二〇〇一年、著者は日本で初めてリテラリー・エージェント業務を専門にする会社「アップルシード・エージェンシー」を立ち上げた。三年間で出版にかかわった百六十冊のうち四割に増刷がかかるという、出版界では脅威の”打率”が注目を集めている。「ザ・エージェント」では、代理人を志した動機や作家を発掘するノウハウをつぶさに紹介した。出版不況がいわれるようになって久しい。「だが果たしてそうか」と、著者は疑問を提起する。「名物編集者が少なくなり、企画の良しあしの格差が広がった。出版社は出版点数を増やして対応しようとしているが、いい企画を打ち出さない限り状況は好転しない。いわば”負のスパイラル”に陥ってしまっている」と指摘する。

この悪影響を受けているのが新人作家だ。「出版社は失敗を避けるために、無難なベテランを選択しがち。新人を採用しても特定の企画を押しつけて書かせるため、せっかくの才能を食いつぶしてしまう」と、危機感を持つ。

この状況を打ち破るものが代理人だという。「代理人は作家のポテンシャルを把握した上で、内容にふさわしい出版社や編集者を仲立ちできる。だから、作家の才能を最大限に伸ばし、読者に提供できる」

同書では、創業三年間の経験をざっくばらんに公開した。「手の内を見せすぎでは」との指摘もあるが、「多くの仲間が増えるだけ世界に通用するいいコンテンツを発信することができる」ときっぱり。競争相手の増加を歓迎する。

鹿児島市皷川町出身。鹿児島大学在学中に二年かけて世界各地を放浪し、南日本新聞に百六十回に及ぶ旅行記を提載したこともある。八月には高校時代の同級生を題材に、鹿児島を舞台にした小説を出版する予定だ。

千葉県市川市在住の三十九歳。(「ザ・エージェント」はランダムハウス講談社刊、一五七五円)