鬼塚忠氏「ザ・エージェント」上梓

 

国内作家を日本の出版社と結びつけるリテラリーエージェント「アップルシード・エージェンシー」を01年に創業した鬼塚忠氏は、著書「ザ・エージェント」を、ランダムハウス講談社から3月1日発売する。

 

リテラリーエージェントとは、作家に代わって出版社との契約や、映画化権、海外出版権などの交渉を手掛ける代理人。欧米、特にアメリカの出版業界では大きな力を発揮しているが、編集者と著者の公私にわたるつながりを重視する日本では、これまであまりみられない職業だった。

 

鬼塚氏は「日本で作家のエージェントというと、編集プロダクションをイメージする人が多い」という。編プロが出版社からの収入に頼るのに対して、エージェントは作家の収入に対するコミッションで成り立つ。このため、まず作家の利益を考えて動くところが編プロとの大きな違いだ。

同社は株式会社として社員4人で運営。鬼塚氏は「組織化された国内作家エージェントとしては日本唯一ではないか」とみている。

 

創業から3年目にして、既に契約作家は60人。手掛けた出版物は160点にのぼり、「考具」(TBSブリタニカ=阪急コミュニケーションズ)、「世界No2営業ウーマンの『売れる営業』に変わる本」(ダイヤモンド社)、「海峡を渡るバイオリン」(河出書房新社)といったベストセラーなど、5万部以上が12点、10万部以上が4点出ている。「10年で5万部以上が10冊出れば・・」という当初の見込みを軽く超えた。

 

鬼塚氏は、海外出版物の翻訳権を輸入するイングリッシュ・エージェンシー・ジャパンに在籍した当時、海外のブックフェアでリテラリーエージェントの仕事をつぶさに見て、そのノウハウや成功例、失敗例を詳しく聞いた。さらに、この時期に培った国内編集者との信頼関係も新しい仕事に生きた。

 

出版権や2次使用権などに関する3〜5年の独占契約を作家と結び、出版社との交渉、企画・執筆のアドバイス、刊行後のプロモーション、販売ノウハウの提供など全般に関わる。コミッションで経営を成り立たせるためには、コンスタントに2万部程度のプロジェクトにしていくことが必要なだけに、厳選した企画を、信頼できる編集者に託す。作家とも「試しに1冊、では回収できない。いつも2万部ぐらい売れるようになるためには準備に2年は掛かる」と長いつき合いになるため、素人向けの講習などはせず、あくまでプロに徹する。

 

「ザ・エージェント」では、これまでの3年間の活動について、企画ごとに具体的に書いている。「多くの追随者たちが現れることを期待している」からだ。

 

発掘新人作家のドキュメント放送も

 

また、2月21日に講談社から発売され、既に映画化が決まっている新人作家の小説「クールス」(高橋美夕紀)の刊行までを追ったドキュメントが、テレビ東京「ガイアの夜明け」で3月15日に放映される予定もある。これも鬼塚氏の仕掛けである。