ベストセラーを狙う企画はこうして作る!

 

売り込んだ人

(鬼塚忠さん)

37歳。鹿児島大学卒業後、2年間世界各地を放浪。帰国後、海外出版物のエージェンシー勤務を経て、0110月、日本ではじめて、作家の代理人会社アップルシード・エージェンシーを設立。これまで80冊の本をプロデュース

 

(本文)

 いま、出版界で「企画売り込みの鬼」と評判の男である。

「1年半前、作家のエージェント会社を立ち上げた。しかし単に金の交渉をするだけの代理人にはなりたくなかった。自分で作家を見いだし、よい作品を書かせ、出版社に売り込むところまでやりたい。が、まったく無名の作家の1作目を出版しようなんていう勇気のある会社はまれだ。本が出せない以上、作家もぼくも飯が食えない。こんな切羽詰った状態が、結果としてぼくの企画力を育ててくれたのだと思います」

 

自分の頭を信じるな!

ヒントは常に“外”にある

 

 出版における企画力とは何か。

「とにかく人と会うことが大事。企画とかアイデアは机の前に座っていても生まれない。ぼくは新聞記者よりも毎日たくさんの人に会って、話を聞く。生の声からつかんだ企画ほど面白い。ぼくがプロデュースした本でベストセラーになったものはたいがいこうして生まれた。昨年夏に出た『歌舞伎町案内人』の場合、新宿で怪しげな商売をしているハンサムな中国人がいると聞き、興味をひかれて会いにいった。この単行本企画の肝は、現役バリバリの案内人である李小牧さんが、危険を顧みずに実名で手記を発表することにあった。しかもカバーには本人の写真をあえて使用した。また、今月13日に発表された『カルロス・ゴーンへの警鐘』(TBSブリタニカ刊)は、元『NAVI』編集長・小川フミオさんの『新生ニッサンは嫌いじゃないけど、なんか変な方向に行きそうなんだよねぇ』という雑談中の一言がきっかけで生まれた。すぐさま彼を著者に立て、企画化した。ベストセラー確実でしょう」

 鬼塚さんの企画には他にも秘密がある。

「企画書の段階で、すでに映画化とか漫画化の段取りをつけておくこともよくやる手。あとは日韓同時発売の手はずを整えてから、出版社に持ち込んだり。こうした“ウリ”があるのも大切な要素になる」

 本の出版に賭けるこれほどの情熱はどこからくるのだろう。

「だって、本ほど面白いものはないじゃないですか」