2006年1月号

 

 

2005年出版界総決算

出版界編

 

 

2005年の注目トピックス!A

自分の本を出したいビジネスマンが増加!

 

 

成功は、本業とコンテンツの充実度による!

 

最近、いわゆる専業の作家ではない一般の人が書籍を出版し、

ヒットするケースが増えている。日本ではまだ珍しい出版社と作家の間を

取り持つ「作家のエージェント」として注目を集めるアップルシード・エージェンシー

でも、加藤昌治氏や和田裕美氏などの数多くの作家を発掘してきた。

同社代表の鬼塚忠氏に、そんな出版界の傾向を聞いた。

 

 

 

本業で輝く人だけが

ビジネス作家になれる

 

 

2005年度、鬼塚氏が出した10万部超の作品は三冊。

そのうち二冊はみずから発掘した作家だ。

『人に好かれる話し方』などの著作で有名な和田裕美氏と、

『すごい会議』の大橋禅太郎氏だ。

この二人の作家は、ともに現役のビジネスマンでもある。

 

「営業にしても商品開発にしても、現場で働く人の話は

 面白いものです。ビジネス作家の場合、専業というのは難しい。

 なぜなら、作家自身が何かのスペシャリストでなければ面白みがない

 からです。一年先のことも予測つかないような時代に、過去の成功事例を

 切り売りされても興奮しない」

 

と鬼塚氏は分析する。

つまり、ビジネス作家になりうるには、本業で輝いている人だけ、

ということになる。

 

鬼塚氏は、

「ビジネス書の出版が、大きくさせるケースが増えている」

と続ける。

「著者が書籍の出版に感じる魅力は、書籍自体の売り上げというよりも、

 書籍が持つ影響力かもしれません。」

 

 

本が売れるかどうかは、

コンテンツの良し悪しにかかっている

 

 

2004年、8年ぶりに出版界の景気が回復したろ言われているが

その感は2005年になって実感がわいてきた。

だが、鬼塚氏の見解は、

「今年は出版界の勝ち組、負け組が明確になった」

と厳しいもの。

 

そんな状況下で、鬼塚氏はプロモーションの大切さを実感する体験をしたという。

同社では、ある本で出版社の営業を対象に書店へのセールストーク等の

ロールプレイングを行い、その結果、

初版注文が8千部の予定だったその本は、初版6万部までに伸びた。

 

「コンテンツさえよければ、表現次第で部数が大きく伸びることを実証できた

 と思います。逆にコンテンツがよくないと、どんな表現をかえても

 1〜2万部以上は伸びないでしょうね。」

 

と鬼塚氏は話す。鬼塚氏に来年の予測を聞くと

 

 

「やっと作家のエージェントという立場が理解されはじめたと思います。

 私だけでなく、いろんな新しいアイデアをひっさげて出版界にやってくる人

 たちが出てくるでしょう。けれどもご存知のように、出版業界紙や

 この雑誌にも新しい出版ビジネスが毎号紹介されていますが、8割くらいは、

 2年もしないで消えていく。

 現実がこんなに厳しいから出版界は面白いんです。来年、私たちのまだ見ぬ、

 新しいアイデアが現れることを期待しています。

 私自身もいまや成功したような感じでとらわれていますが、来年はどうなるか

 分からないと思っています。」

 

 

単行本も作家の名前だけでは売れなくなり、出版社の名前で買うわけでもなくなった。

むしろ企画がよくて、斬新なアイデアを持つ本が売れるようになった。

 

 

「いい企画を考えられる人が報われることになったのではないでしょうか。

 より実力で勝負できるようになったということです。

 ベストセラーの分析をしても絶対ベストセラーは生み出せません。

 なぜなら、そういう人は周りにはいませんから。

 大切なのは、過去の成功事例を踏襲することなく、常に新しいアイデアを

 出し続けることだと思います。」